アジアシリーズの台湾VS中国戦で、陳金峰が2本塁打と爆発したらしい。「メジャーリーグのバッティング技術」で書いた(169ページ)ように、陳はトップハンドトルクタイプである。アテネオリンピックのアジア予選で見た時に素晴らしいと思ったのだが、なぜメジャーに定着出来なかったのだろう。今でも疑問である。今シリーズでの活躍を期待したい。ボールに対する集中力、気迫のようなものを感じさせるバッターである。だが、それもメカニックの裏付けが有ってのものだろう。
ハワードを注目していたのだが、近年には珍しく重いバットを振る打者である。月刊メジャーリーグの記事によると、マイナー時代にメジャーのお下がりのバットが配られた時、ズシリと重いバットが一本有った。誰のバットだろうと思って名前を見ると、ターク ウェンデルと書いてある。ターク ウェンデルは投手である。なぜ投手がこんなに重いバットを使うのだろうと思って試してみると、感触が良い。それで使い始めたようだ。
近年、軽いバットが流行しているのは変化球対策であるが、ハワードのように重いバットを振っていると、どうもそのあたりに弱点が出て来るのでは無いか。「ここ」と思って振り出すと軌道修正が難しいように見受けられる。緩急の変化には比較的強いのだが、大きく曲がるボールへの対応に問題が有るのでは無いか。バットの重さも手伝って、緩いボールに対しては比較的タメが効いているようである。なので、スピードで揺さぶるのでは無く、変化の大きさ、鋭さが、ポイントになるだろう。 ハワードが気にいったというバットだが、そのバットが本当にフィットした理由は重さでは無く、バランスにあるのでは無いだろうか。
日本ハムで注目しているのが、森本稀哲だ。日本のバッターは大きく脚を挙げる事が多いので、イメージ的にメジャーのバッターと変わって来るので掴みにくいのだが、この選手もトップハンドトルクタイプでは無いかと思う。和製ジーターと言いたい。筋肉の替わりにバネが入ってるんじゃないかと思わせるような動きである。おそらく腱の質が違うのだろう。